- 「コロナ禍の影響を受けて、自動車業界の今後はどうなるのだろう?」
- 「自動車業界の市場規模や販売台数ってどのように推移しているのかな?」
自動車業界の動向や現状を探ろうとしているあなたは、このような疑問を抱えているのではないでしょうか?
そこで今回は、自動車業界の現状を知るために市場規模や販売台数の推移、メーカー別のランキングを紹介します。
記事の後半では、自動車業界の課題や今後の動向について解説しているので、この記事を参考に自動車業界への理解を深めましょう!
なお、「自動車業界の平均年収について知りたい!」というは、以下の記事がおすすめですよ。
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自動車業界の市場規模
自動車業界の市場規模を日本と世界に分けて紹介します。
そもそも市場規模とは、ある業界における市場の大きさを表したものです。
日本経済新聞出版社が刊行している『日経業界地図』によると、日本には179もの業界がありますが、この市場規模を知ることで経済に対する影響力が把握できます。
また、その業界の成長性や他業種の参入といった背景を知る材料にもなるので、企業分析や業界分析に大いに役立ちますよ。
日本の自動車産業の市場規模
日本自動車工業会が発表している『日本の自動車工業2021』によると、日本の自動車産業の市場規模は年々拡大しており、2018年には62兆3,040億に達しています。
これは日本の全製造業の出荷額の18.8%を占めているのですから、「自動車産業は日本経済を支える重要な基幹産業」と位置づけられているのも頷けますよね。
それでは、日本の自動車販売台数や輸出台数の推移、自動車販売台数ランキングについても具体的に確認していきましょう。
日本の自動車販売台数の推移
2016年以降、日本の自動車販売台数は増加傾向にありましたが、2019年には3年ぶりのマイナスを記録しました。
一時は、消費税増税による駆け込み需要や自動車税制の見直しによって販売台数が増えると期待されたのですが、結果として実績に表れることはなく、10月以降に発生した台風被害の悪影響が目立つ結果となっています。
とはいえ、好調不調のラインとされる500万台はキープしているため、辛うじて次第点だと言える成績でしょう。
ちなみに、主要な国内メーカーの日本における新車販売台数は以下の通りです。
2015年
マークラインズ自動車産業ポータル
2016年
2017年
2018年
2019年
トヨタ 144万9,067 152万8,173 158万7,062 150万8,647 154万7,173
ホンダ 72万6,928 70万7,044 72万4,834 74万7,226 72万2,075
日産 58万9,099 53万4,415 59万1,000 61万6,033 56万7,643
スズキ 63万6,360 62万2,866 66万5,871 71万4,594 69万6,014
ダイハツ 61万0,396 58万6,972 63万0,856 64万6,781 65万8,849
マツダ 24万5,437 20万1,404 20万9,689 22万0,743 20万3,580
スバル 16万2,254 15万5,779 17万6,737 14万8,453 13万1,261
三菱 10万2,009 8万5,720 9万1,621 10万4,591 10万3,486
その他 52万4,961 54万7,885 55万6,496 56万4,999 56万5,135
合計
504万6,511
497万0,258
523万4,166
527万2,067
519万5,216
国内メーカーの新車販売台数は実質的にトヨタ自動車の1人勝ち状態で、第2位である本田技研工業とは80万台以上もの差を付けています。
このように、メーカー別の成績を知ることは、その業界における影響力を把握することに繋がります。
また、日本全体の自動車販売台数の推移を知れば、業界が抱えている問題や弱点、障壁となりやすい要因を分析できますよ。
日本の自動車輸出台数の推移
日本の自動車輸出台数は年々緩やかに増加しており、2019年には累計481万8,382台を記録しています。
なお、仕向地別の輸出台数推移は以下の通りです。
2015年
日本自動車工業会
2016年
2017年
2018年
2019年
アジア 52万9,291 58万8,654 60万1,204 63万5,045 65万1,814
中近東 68万4,886 50万0,325 44万3,963 47万6,157 46万4,195
欧州 73万7,518 81万8,931 86万4,518 88万5,705 98万0,516
北米 174万9,208 189万8,913 192万5,356 192万9,781 191万9,835
中南米 31万0,001 29万4,378 32万0,238 32万3,591 28万6,374
アフリカ 16万8,234 13万4,497 10万8,845 11万9,549 12万3,842
大洋州 39万0,891 39万3,457 43万4,458 43万8,362 38万3,261
その他 8,049 6,578 7,268 9,280 8,295
合計
457万8,078
463万4,033
470万5,848
481万7,470
481万8,132
地域として最も多いのは北米、次点で欧州、アジアと続く結果になりました。
後述の通り、現在の自動車市場の中心地は中国へとシフトしたものの、アメリカやドイツの日本車人気は未だに根強いものがあります。
そのため、国内自動車メーカーの多くは海外での現地生産に力を入れており、2019年には日本メーカーの四輪車海外生産台数が約1,800万台を突破しています。
2020年上期の国内メーカー別新車販売台数ランキング
2020年上期(1~6月)の国内メーカー別新車販売台数ランキングは以下の通りです。
順位
『日本自動車販売協会連合会』『全国軽自動車協会連合会』
企業名
2019年上期累計(台)
2020年上期累計(台)
前年比(%)
1 トヨタ自動車 800,953 685,802 ▼14.4
2 本田技研工業 197,792 145,975 ▼26.2
3 日産自動車 205,282 132,981 ▼35.2
4 マツダ 83,962 72,816 ▼13.3
5 スズキ 66,767 50,460 ▼24.4
6 スバル 56,118 42,768 ▼23.8
7 ダイハツ 21,046 30,894 ▲46.8
8
三菱自動車
24,907
13,362
▼53.6
唯一、SUVの販売が好調なダイハツはプラスであったものの、親会社であるトヨタ自動車も含めて、他社はいずれもマイナスとなりました。
一説によると、新型コロナウイルスの影響はリーマンショックを上回るとされていますが、この統計を見ればあながち間違いではないと分かるでしょう。
また、自動車に関する統計を行っている『日本自動車販売協会連合会』と『全国軽自動車協会連合会』によると、2020年上期(1~6月)の新車販売台数は前年同期比19.8%減の220万7,775台でした。
そのため、マイナス幅19.8%未満に抑えているトヨタ自動車とマツダは、比較的好成績を残していると言えるでしょう。
世界の自動車産業の市場規模
世界の自動車産業の市場規模は明確に算出されていませんが、一般的には300兆~400兆円とされています。
また、市場規模が最も大きい国は中国で、次点にアメリカ、日本、ドイツ、インドと続きます。
このことからも分かる通り、今後日本の自動車業界が発展するうえで、中国は決して無視できない存在です。
それでは、世界の地域別自動車販売台数の推移について、具体的に確認していきましょう。
世界の地域別自動車販売台数の推移
2019年の世界自動車販売台数で、最も多かった地域は中国で2,576万8,677台でした。
例年に比べて販売台数が下落しているものの、第2位であるアメリカとは800万台以上もの差をつけており、名実ともに世界トップの自動車大国だと言えるでしょう。
なお、このように中国での自動車販売台数が多い背景には「急速な経済成長」と「賃金上昇に伴う需要の増加」、「海外メーカーの進出」があると考えられています。
とはいえ、多くの中国自動車メーカーは独自の研究開発能力を持っていないなど、まだまだ課題が多く残されています。
また、外資が参入する余地も十分残されているため、日本の自動車メーカーはいかに中国でのシェアを獲得するかが問われています。
2020年上期の世界自動車メーカー別新車販売台数ランキング
2020年上期の世界自動車メーカー別新車販売台数は以下の通りです。
順位
企業名
2019年上期累計(台)
2020年上期累計(台)
前年比(%)
1 トヨタ 5,311,806 4,164,487 ▼21.6
2 VW 5,365,300 3,893,100 ▼27.4
3 ルノー・日産・三菱 5,213,000 3,454,164 ▼33.7
4GM(ゼネラルモーターズ)
3,817,663
2,922,639
▼23.4
いずれもコロナ禍の影響により、販売台数の下落が目立ちますが、注目すべきはトヨタ自動車がVWを抜いて首位に輝いたことでしょう
これは上期としては実に6年振りの記録で、トヨタ自動車の危機管理能力を世界に知らしめる結果となりました。
しかし、新型コロナウイルスの第2波や第3波は未だに大きな懸念材料であり、たとえば国内自動車メーカーの主な仕向地であるアメリカがロックダウンされた場合、他国以上の経済打撃を被ると考えられています。
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自動車業界の課題
経済産業委員会調査室が作成した『自動車産業の現状と今後の課題』によると、自動車業界の課題には以下の3つが挙げられます。
自動車業界の課題
- CO2削減など世界各地で進む環境規制
- AIの活用による自動走行技術の研究・開発
- 新興国における自動車需要の増加
これらの課題に応えるために、現在自動車業界で進められているのが『CASE』と『MaaS』への取り組みです。
それぞれが意味するものは以下の通りです。
CASE | Connected(コネクテッド)・Autonomous(自動運転)・Shared & Services(シェアリング&サービス)・Electric(電気自動車)の頭文字を取った造語。今後、自動車業界が発展させていくべき領域とされている |
MaaS | Mobility as a Service(サービスとしての移動)の略称。情報通信技術を活用することにより、自動車を含めた様々な移動手段を1つのサービスとして完結させることを指す。 |
いずれも自動車を単なる移動手段から、より生活に役立つサービスへと発展指せる動きであり、『自動車産業の現状と今後の課題』で求められていた「高付加価値製品の生産」に繋がることだと言えるでしょう。
この『CASE』と『MaaS』については以下の記事でも詳しく解説されているので、そちらもチェックしてくださいね。
自動車業界の今後の動向
現在、自動車業界は「100年に1度の大転換期」に差し掛かっているとされています。
また、自動車業界の今後は前述の『CASE』と『MaaS』の研究・発展とともに進むと考えられていましたが、コロナ禍の影響により、その計画に大きな狂いが生じてしまいました。
しかし、トヨタ自動車を始めとした国内大手自動車メーカーは、コロナ禍のダメージを着実に回復しつつあります。
また、「ポストコロナを意識した車作り」など、新たなニーズを発掘する余地は依然として残されています。
そのため、自動車業界に就職したい方はこの時期だからこそ、各メーカーの動向に注目する必要があるでしょう。
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まとめ
この記事では以下の内容について解説しました。
- 自動車業界の市場規模
- 自動車業界の課題
- 自動車業界の今後の動向
日本の自動車業界の市場規模は年々拡大傾向にあります。
また、販売台数や輸出台数も増加基調で推移していますが、コロナ禍の影響で今後の先行きは不透明な部分が多いです。
しかし、こんな時だからこそ、自動車業界は『ウィズコロナ』や『アフターコロナ』への対策を進める必要があります。
当然、それに伴って大きな事業転換が進められる可能性がありますから、自動車業界に就職したい方は業界の動向を細かくチェックしてくださいね。
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